【スタッフの離職率を下げたい】そんな時に有効な美容師の考え方。

日本には20万件以上の美容室があり、約50万人の美容師がいる。

そして、

そんな美容師という仕事は離職率が高い仕事ともされている。

1年目の離職率が45%

3年目で72%

5年目で88%

10年目で92%

20年目で94%

とのことだ。

30代で8%しか残らず、

40代以上では6%しか美容師をやっていないということだ。

40代までに94%の人が美容師を辞める。

すごい離職率だと思う。

美容師は一般的には利益率がとっても低く、収入も低い、拘束時間も長いし休みも少ないため、30代以上になった時に売れてる美容師でないと一家の大黒柱は難しく、結婚も、子育ても収入的な面や時間的な面も難しいのではないかと感じる。

いわば売れているものしか生き残れない脱落形式のサバイバル系の仕事だ。

ところでその高離職率の理由はなんだろうか?

  • 低年収
  • 拘束時間が長い
  • 休みが少ない
  • 人間関係
  • 手荒れ
  • 理想と現実
  • 将来への不安
    こんなところだろうか?
    ここまではだいたいどのメディアにも書いてある事だが、

ここで思うところがある。
離職率の割合が最初の5年で88%離職してるのに対し、

残りの15年以上で6%しか離職してないという事だ。

それはつまり、

圧倒的にアシスタント時代に離職してるという事だ。

だいたいスタイリストデビューまで3年くらいと考えた時にこの時点で72%が離職し、デビューしたらバラ色の人生が始まるとおもっていたがむしろそっからがスタートだと知ってその地道さにデビュー後2年で16%が離職し5年目で88%の離職率。

そのほかにも女性などは結婚のタイミングで離職とかもありそうだが、

ざっくりそんな仮説を立てた時に、あとの15年以上で離職が6%というのはむしろ離職率が低いのではないか?

そう感じる。
つまり、人材マネージメントとしては、

入社5年目までのケアと、

5年目以降のケアは別物として考えるべきではないか?

もっと言うと、

アシスタント時代と

スタイリストデビュー後2年と

それ以降のスタイリストで、

必要になってくるケアを細分化し、おのおのに最適化していく必要があるのではないか?

そして、離職率を下げるお店の作り方としては、

特にセンシティブに対応しないといけないのがアシスタント時代のケアとデビュー後間もないスタイリストのケアなのではないか?

ではなぜこの各時代の離職率が高いのか?

ここを掘り下げなくては答えは出ない。

まず

アシスタント時代の離職の原因を掘り下げていく。

この年代は

20歳から23歳プラマイ2歳くらいが多いいのではないか?

友達はまだ大学生が多くダラダラと毎日を過ごしているように見えるなか、学生時代とは比べものにならない休みの少なさ、拘束時間の長さ、そしてなにより社会という仕組みの理不尽と先輩やオーナーという世代的価値観の全く違う得体の知れない大人達の理不尽に人生でほぼ初めて直面する。

そんな中で、隣を見れば学生の友達が羨ましくなり、現実から逃げ出したくなるし、

周りを見ればどこの芝生も青く見え、世界中で自分が一番過酷なのではないかと錯覚する。

世代的価値観の違う先輩やオーナーの言ってる意味がよくわからない。何をやっても指摘され、やらなくても指摘される。学校の先生とは明らかに違う、理不尽でおのおの好き勝手訳のわからない事を言う大人達に囲まれ、今直面してる問題の答えを自らの頭で考え、答えを出していかないといけない。

精神的にも肉体的にもギリギリのフェーズがこのアシスタント時代だろう。

では

スタイリストデビュー後2年くらいの離職はどんな事が原因なのだろうか?

長いアシスタント時代を乗り越え、デビューさえすれば苦労なく売り上げが上がり、伸び悩んでる先輩達もすぐ抜かし、給料も今より格段に上がるだろう。

そう思ってスタイリストデビューしてみたら、そもそも新規がそんなにこないお店だし、思ったより、新規に入客もできず不満がある。そして入客したお客様も指名で戻ってこない。自分の何が悪いのかわからない。給料もアシスタント時代とちょっとしか変わらず、いつのまにか自分も伸び悩んでる先輩達と同じだ。思い描いてた理想と現実が全然違う。

営業中は売れてる先輩のアシスタントばっかりで結局アシスタントやるのかよって感じだし、営業後は後輩の指導で早く帰れるわけでもない。

よくよく見渡して見れば、売れてる先輩なんてごく僅かではないか?このまま一生この給料だったら結婚もできないし、毎月自分1人の生活で、精一杯だ。

周りのサラリーマンの友達はボーナスもあり、有給もあり、羨ましい。

美容師ってほんとウンザリだ。

思い描いてた理想と現実のギャップにうんざりし、となりの芝生が青くみえる。
こんな感じのフェーズが、だいたいのスタイリストデビュー2年くらいではないだろうか?

将来に対する不安や今の環境への不満など精神的理由が離職の原因になるのではないか?
そんなこんなで5年で88%が辞めていく。

それ以降の、スタイリストはここまで残った選りすぐりの残りの12%。

精神的にもタフで、ちょっとくらいではへこたれない美容師が、残っているのではないか?

だがこれ以降のスタイリストはちょうど26歳前後でライフステージが変わっていくタイミングでもある。

26歳から30代女性なら結婚や出産で【時間】がなくなる。30歳前後の男性なら結婚や出産のタイミングで家族のメインの収入=【お金】を求められる事になり始めるタイミングだ。

今まではなんとかなっていたのも自分1人だから。

家族になるとそうも言ってられない。

つまりここから先は、精神的なものより、ライフステージの変化とともに、必要になってくる時間やお金というライフワークバランスの問題が1番の、離職の原因に直結してくる。


つまり、
スタッフの離職率を下げたいと考える時に、

一元的に、

低年収

拘束時間が長い
休みが少ない
人間関係
手荒れ
理想と現実
将来への不安

などを漠然と改善していこうと考えるのではなく、

全体に、あてはまる環境は一気に改善し、

あとは 各フェーズ「アシスタント時代、デビュー後2年、それ以降。」に切り分けて考えオーダーメイドに対応する【改善】が求められるのである。

そして最後に言いたいことがある。

美容師には時代的難易度&世代的価値観がある。

時代的難易度とは、美容師として売り上がる難しさが時代によって違うということだ。

1.集客しなくてもいくらでも入客できた昔。

2.自己集客できないと新規にも入れない今。

3.集客難&求人難&市場規模の縮小&過当競争激化のこれから。

で美容師として売り上がる難易度が時代によって違う。

世代的価値観とは

育ってきた時代によって形成される価値観が違う。

1.同期というライバルが沢山いて、お客さまはいくらでも新規で入客できた時代→根性論。体育会系。技術さえ、しっかりあればのし上がれる。売れる時代。技術色世代。

2.デビューさえすれば先輩みたいなバラ色の時代がくると思いきや、デビューしてみると過当競争時代に突入。新規がいない。新規を自ら呼ばなければそもそも入客できない時代。値段を下げないとお客さんを呼べない時代。アシスタントはいない。集客&技術がないと売れない。伸び悩み世代。

3.そもそも新規は自分で呼ぶものでしょ?SNSで呼ぶんでしょ?撮影するのが美容師でしょ?本質的技術軽視時代。SNS至上主義世代。アシスタントはいない。

 

各世代で難易度も世代的価値観も全く違う。

いわば、

各世代がおのおの美容師として様々な初めてを経験する世代なのだ。

つまり、

先輩も後輩も、実質ない。

そして、各世代ごとに強い部分と弱い部分が違う。

例えば40歳オーバー美容師だと技術に対する熱が熱いかもけど新規集客に対する考え方は弱い。

18歳から22歳くらいだとSNSでの新規集客が標準装備だが、技術がまだいまいちよくわからない世代。

自分の価値観を押し付け合うばかりではなく。

上からモノを言うばかりではなく。

各世代間で強みと弱みを理解し共有し、協力して補っていく考え方が人材マネージメントで大事なのではないだろうか?

参考にしてみてほしい。


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